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2005年05月09日
泣くな石川。シーズンはまだ終わっていない。
サッカーの試合で悲劇的な終わり方は多々ある。身近なところではあのドーハの悲劇が有名である。私自身もあれで人生が変わったクチだ。
昨日のFC東京対大宮の試合もまさに劇的な終わり方だった。六連敗中のなか、勝利目前のロスタイム、しかも終了まで後数秒のところでの同点劇。その瞬間、東京の選手はほぼ全員が地面に突っ伏し、顔を上げられなかった。

この日の石川には勝たせてやりたかった
試合前から東京サポーターの気合いがいつも以上なのは感じた。試合前30分前から既に試合が始まっているかのようにチャントを歌い始め、恒例となった「you'll never walk alone」の合唱も幾度と無く聞こえる。そしてチームもその思いを分かち合うように異例の檄文をゲート前で観客に配る。シーズン当初からの調子からは信じられないほどの連敗中、優勝を狙うにはどうしてもここで連敗を止めて勝ち点3を奪わなければならない。監督の更迭問題も囁かれる中、このクラブに関わる全ての人から「勝ちたい」という思いが伝わって来たスタジアム風景だった。だが…。
確かに東京はアグレッシブだった。試合最初からピッチ上の気迫は伝わり、それは試合終了間際まで見られる。いつもならスタミナ切れを起こす中盤もまさに鬼の形相で相手にプレスをかけ、その体力と集中力はまさに無尽蔵に見えた。そしてこの気迫に押された大宮は終始守勢にならざるを得ず、堅守でならすDF陣は決してベストメンバーとは言えない東京攻撃陣に3点も献上してしまう。それなのに東京は勝てなかった。
あの大宮FW森田の同点ゴールはもう一度やれと言われても、あの状況であの位置に入れるのは無理だろう。まさに奇跡的なゴールであり、とても美しいループシュートだった。そしてその瞬間、東京の選手の多くが地面に突っ伏したのは前述の通りだが、特にこの日一番の運動量を魅せ、点も取り、この試合にかける思いが伝わって来た東京の石川は突っ伏しながら己の拳を何度も何度も地面に叩きつけた。もしかしたらロスタイムでの自分のプレーセレクトを悔やんだのかも知れない。が、全ては遅かった。
ロスタイムで1点のアドバンテージ、東京は明らかに迷っていた。ボールをキープするのか、より攻撃にいくのか?石川自身のプレーもプレー選択を一度はサイドでキープ、そして今一度は中へのクロスとちぐはぐだった。また、このクロスからしばらくして彼は相手ゴール前で足を負傷するが、健気に立ち上がりプレーに参加した。善し悪しはともかくとして鹿島なら間違いなくあの状況下でゴール前へのクロスは上げないだろうし、そして少しの怪我でも選手は決して起きあがらないだろう。残念ながらそれが常勝チームの掟だ。
かくして味の素スタジアムの悲劇はこうして起きた。試合後、出場選手に加え、試合に出ていないそしてベンチにも入っていない選手までもがスタンドに挨拶に向かった。どの選手の目も真っ赤なように見えた。そして最後に人目も憚らず号泣する石川が一人遅れて挨拶にスタンドに向かう。彼の姿、いや全ての選手のこの日の熱きプレー、そして試合後の姿を見て、バックスタンドでも涙を隠さない男達が大勢いた。きっと彼らはこれからもこのクラブに付いていくだろう。そう思わせる”何か”がそこにはあった。
投稿者 bellwin : 2005年05月09日 23:41