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2006年06月18日

ドイツ滞在記3

いよいよ、決戦の日ですな。ジーコは支持しないとはかつて書いたが、この日は祈るのみ。”日本の代表”という責任と意味を考えて、足が折れるまで戦って、そして誇りを持って勝ってくれ、我が代表!

さて、滞在記3、いよいよオーストラリア戦です。

朝、この日のために用意したレプリカユニフォームを着る。滅多に着ることのないユニフォームだが、僕以上に代表の試合会場でこのようなものを着ない妻までもが用意したレプリカを着込む。いよいよ、決戦、オーストラリア戦の朝である。

ホテルを取っているフランクフルトからICEに乗るために駅に向かう。昨日はメキシコ人達で一杯だったプラットホームは日本のレプリカを着た者と黄色のシャツを着たオーストラリア人達が目立つ。昨日は感じたワールドカップでのお客さん感覚が、今日は主役感覚に変わる。だからワールドカップは出なければ、そしてその場に居なければその本当の意味は分からない。

試合会場はカイザースラウテルン,普通の旅行ガイド書では名前さえ出てこない小さな街である。そこへはフランクフルトから1本乗り継げば1時間半程度でつける距離である。

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マインツ駅に突如来襲したオージー専用列車。煽っています。

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それに対抗する俺等。

その途中の乗り継ぎ駅はマインツ駅という。ライン河下りの拠点の観光都市である。普段は静かなこの駅で僕らはその雰囲気を壊さないよう静かに列車を待っていた。ホームには多くの日本人と少しのオージーという構成で、この時は「意外とオーストラリア人も来ているな」的な余裕の感覚だった。そこにどこかしらからかあの「ダウンアンダー」が聞こえて来る。フト気が付くとホーム向こうの停車場にオーストラリア人の団体を満載した特別列車が到着していた。こんなにオーストラリア人が来ているとは!早速応援のやり合い。窓から乗り出し野太い声で威嚇するオージーを相手に日本人は何故かユルキャラの応援をする3人組を中心にやり返す。どこまで本気か分からない互いの国威発揚合戦。互いの意地がぶつかりつつも友好的な雰囲気も醸し出す。やはり、ワールドカップは出なくてはそのおもしろさは分からない。

カイザースラウテルンという街は僕が到着したときには既に数多くのオーストラリア人と日本人に占領されていた。小さな街なのでメインストリートは1本。そこにこの日のために地元の人達が用意したであろう出店が並び、そこを多くの両国サポーターが練り歩く。ビールやワインを飲みながら互いに陽気に応援合戦。少しも危ない雰囲気な無いながらも互いに自国の優位さを醸し出そうとする。あと数時間でどちらかの国はこの勢いはどこえやらで、すごすご帰る羽目になるのだが、それがまさか我が日本とは…。この時間ではそんな事は少しも考えなかった。つーか、オーストラリア人はサーフィンだけやっていりゃいいんだ!ぐらいの勢いだった。

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この日のカイザースラウテルン大通り?はこんな感じ。


因みにこの日は友人カップルとそのいとことここで待ち合わせをすしていた。僕が彼らのチケットの一部を持っているため渡さなければならないからだ。互いに携帯で連絡を取りながら何とか駅まで落ち合える。まるで月の裏側で近所の人に会ったような気分である。お互い、こんな遠くまで良く来たなー。馬鹿だな…。


しかし前述のように思った以上にオーストラリア人が多い。日本人も多いのだが、それと同等程度、いやそれ以上は来ている。オーストラリアではサッカーはそれほど盛んではないと聞くが、これはどうした訳だろうか。30年ぶりの出場だからか、それとも国家へのアイデンティティがそうさせるのか。

試合会場のスタジアムは街はずれの小高い山の上にある。町中を練り歩き、旨いビールと食欲を満たしてくれたソーセージとパンを食い散らし、その場にいた日本人と連帯感を高め、オージーを煽るのにいい加減飽きた試合開始2時間前に僕らはスタジアムを目指した。しこたま飲んだビールと、これからいよいよ始まるという高揚感で気分は非常にハイ。周りのオーストラリア人も日本人も同様で、辺りは既にカオスな雰囲気。そんな中、それぞれの入場ゾーンにつながる道を探す。僕はこの日も妻とは別の席なので(ついでに落ち合った人達とも全員バラバラの席)、その分岐点で分かれる。僕らのゲートは一番遠く、たどり着くまで難儀した。因みに座席がカテ2ながら何故かもろゴール裏だった。しかもあの都合4点入ったホーム側である。

スタジアムは最高に見やすい。サイズもワールドカップを行うには手頃で、こんな田舎にこんな良いスタジアムが存在するドイツという国のサッカーの底力を見た気がした。席の周りは多くは日本人。下の方にオーストラリア人が固まっている。ウルトラスを中心とした連中はバックスタンドとこのゴール裏との端境の上段に居をかまえたようだ。やがてそこを中心にいつものサポーターソングが広がり出す。

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悪夢のホームゴール裏の席でした。

試合はご覧の通り。確かに日差しは非常に強く、カラっとした暑い一日だった。前半の日本は悪く無かった。俊輔のシュートは確かにキーパーへのファールくさい。しかしそれを差し引いても前半は日本が良かった。ハーフタイム時のスタジアムにこだまするオフィシャルソングも心地よく聴けた。

問題の後半、そうそうから引き気味になる日本。確かにカウンター狙いだったのも知れない。しかしこのチームはそんなチーム作りをしてこなかったはず。無理が生じ始める。足のもつれる中田などこれまであまり見ない。運動量の落ちる福西も賢明にバランスを取ろうとしている。俊輔はもうばてばて。誰の目からも交代をしたほうが良いように写った筈だ。前線でヤナギと高原がボールを引き出そうと左右に動くがそれも緩慢になりがち。そんな中、放り込まれるボールをひたすら跳ね返し続けるDF陣。特に中澤の頑張りには涙が出そうだった。しかし彼らが何度跳ね返そうとも報われない。なぜなら前線では疲弊した選手ばかりでボールがキープ出来ないからだ。僕も、そして僕の周りのサポーターも口々にジーコに選手交代の要求を出すが、聞こえる筈もない。因みにこの日のゴール裏は代表の試合ではここ4年間で最もゴール裏らしい熱い空間だった。やがて川口のそれまでの奮闘を帳消しにしてしまう、飛び出しの失敗からの得点が入ってしまう。日本人に訪れる静寂。オーストラリア人を飲み込む歓喜の渦。ここで実質試合は終わった。その後の2点はそれを強調するようなものだけだった。完敗。しかも誰もが考えつく戦法で破れ、誰もが一番恐れていた負け方で負けた。ジーコの、相手のサッカーより自分のサッカー、という考えはの試合に関しては大きく裏目に出た。

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恐ろしく来ていましたオーストラリア人。

試合後、お通夜状態の日本人を尻目にオーストラリア人は歌声をやめない。これこそワールドカップ。まるで日本という国家そのものが負けたような気分にさせられる。我が国民の敗北と言っても過言ではない。全員が敗北感にうちひしがれ、スタジアムを後にする。多くの日本人が口々にやるせない気持ちを叫ぶ。この4年間を呪うかのように。僕もこの悪夢のような思い出が残ってしまった街を一刻でも早く去るために余韻も楽しまず、早々に列車に乗る。混乱の中、多くの日本人で溢れる列車は、僕らの思いとは裏腹に、相変わらずの定刻無視ののんびり運転で我々をフランクフルト方面へと運んでくれた。
とにかく悪夢のような一日だった。

投稿者 bellwin : 2006年06月18日 12:31