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2007年01月13日

06年 ベストブック 発表

という訳で今年はこのブログ上で発表します。投票してくれた方、お待たせして申し訳ありませんでした。

今年の評価は過去最低。このサイトを常連さん達の中の幾人かは、投票したい本がない!ということで棄権した方もいらっしゃる程。確かに僕も選ぶのに苦慮しました。積極的に支持したい本がなかったからです。

この現象はロクな事をかけない著者が悪い、というより、まともな事を書かせてくれる出版社がない、という事に起因するように思います。正直、サッカーの単行本、売れません。というより本そのものが売れないので、出版社も取次(本の問屋さん)も出版については非常にナーバスなってしまうのです。売れそう(この売れそう!という感覚の構成要素は世の中のトレンドに引っかかっている事が重要)なものはポンポン出版させてくれますが、そのトレンドに引っかからないものは出版するのが難しいのが現状なのです。そういう意味でトレンドだったオシム関連の本はあっという間に5冊も出てしまいました。逆に、そのトレンドにはひっかからないけどサッカー狂にとっては狂喜するような内容のモノは、あまりにリスクが大きく、出版に到らない事が多いのです。ですから、皆さん、ネットばかり頼りにしないでもっと本を買って下さい。(笑)

とは言え、「じゃ、今年は該当無しネ」というのもどうかと思うので、結構無理矢理に選んでみました。異論反論あるでしょうが、低調な中での選択だったという事を踏まえた上でご了承下さい。


第1位
「1974 Football Odysssey」 (著者:西部謙司 発売:双葉社)

私は最初、この本をあまり高くは評価していませんでした。語り尽くされた試合を今更、しかも部外者の日本人が書いても面白くないだろう、と思ったのです。

しかしながら読むうちにその考えは間違っていることを知り、自分の浅はかさを知った次第です。
同書は1974年西ドイツワールドカップ決勝、西ドイツ対オランダという試合、及びそこに到るその試合に関わった選手や監督そして国を描いたモノです。しかも史実には従っていますが、選手の言葉や行動はフィクションであり、ノンフィクションを元にした小説にしてあるというものです。ですから、バイスバイラー氏(ボルシアMG元監督)が江戸っ子言葉だったりします。

私が間違っていたというのは、この本が史実書として書かれているのではなく、小説としてすぐれていることに気が付かなかった事によります。史実を元にしているとはいえリアリティのある試合中の選手間の会話や駆け引きなどは、この著者でなければ書けないだろうと思うほどで、サッカープレイヤーとしては超アマチュアの私に多くのものを教えてくれました。また、この試合に到るまでの伝説のプレイヤー達の生き様が、まさに生き生きと描かれているのも魅力で、まるで西ドイツ大会を三国志のように群雄割拠する強者達の物語のように感じさせてくれます。しかも史実には忠実ですから、2006年ドイツ大会の前に、再度あの大会を振り返る事も出来、タイムリーであった本でもありました。

第2位
サッカーという名の神様(著者:近藤篤 発売:NHK出版)

この本は世界各国での日常とサッカーという視点を鋭い視点とユーモア溢れる文体で16のエッセイとして切り出しています。

16の物語は国別に切り取られており、国毎のサッカーの現実と人々の生活の現実を織り交ぜながら語られていますが、(著者は本来は写真家であったハズですが、文書の才能も素晴らしく)どのエッセイも読後感が気持ちよいのです。嫌みな事も嫌みとして受け取れないというか、余裕がるというか、世界中のサッカーを長く見てきた深さというか、何故にこのような文が書けるのか不思議であり、ある意味嫉妬さえしてしまいます。サッカーというスポーツに対する愛情は溢れんばかりにわかるのにそれが少しも押し付けがましくない。私もいつかこんな文が書けたらな、と思う1冊です。


第3位
俺が近所の公園でリフティングしていたら(著者:矢田 容生 発売:小学館)

小説としては凡庸ですが、ネット社会から生まれた本として時代を象徴しているものとしてここに取り上げます。元は2chのスレから始まったものとして知られており、ああいう形でも小説が生まれてしまう2chの持つパワーと、市中には実に多彩な人が眠っているという事実を知らしめてくれた功績は、今後の出版界も考えねばならないものだと考えます。今や小説は一部の”先生”だけのものではなくなりました。


以上です。ご協力頂いた方、ありがとうございました。

投稿者 bellwin : 2007年01月13日 17:25