« 初"俺ダービー" | メイン | 100のアイデア、101の愚作 »
2008年11月16日
名波の引退
僕は左利きである。最近は"ぎっちょ"という言葉は差別用語らしいが、昔から"ぎっちょ"であることを実は僕はこっそり誇らしかった。マイノリティであるからこその希少価値、そんな錯覚を覚えていたからである。
そんなマイノリティの星、名波が引退を発表した。自ら右足はおまけと言って憚らないほどのレフティ。今時両足で蹴れない技巧派なぞ死滅状態だが、彼は左足にこだわり、そしてハンパない技巧派の頂点として日本サッカー界に君臨した。まさに彼が左利きであり、それにこだわっているところに同じレフティとしては強烈なシンパシーと誇りを感じていたのである。
名波と言えば、イコールジュビロ磐田であり、2001年に完成をみた"N-BOX"システムの中心選手でもある。思えばあの当時の磐田は強かった。たぶん、今のJリーグにあっても優勝出来てしまうのではないだろうか。彼はスターばかりの当時のジュビロにあっても試合中の存在感は他を圧倒していた。
後年はセレッソやヴェルディなどにも移籍したが、その頃は膝が既にフルで使えるものでなくなっていたようで、たまに出てきても時間は短く限定的だった。しかし、その短い時間でもきっちりと仕事を成し遂げてしまう試合を目にするにつけ、”名波は名波”だと、とても嬉しかったのを覚えている。
そして、1997年から2000年までの代表に於ける存在感はカズや中田に並び称されるものだろう。特に2000年のアジアカップ優勝時の、彼の影武者ぶりとジャイアンぶりが見事に発揮されたチームは歴代代表チームの中でもベストだと思う。たぶん、2002年ワールドカップ時以上の出来の良さだったと、今になってもそう思う。
彼のゴールで最も記憶に残るのは1997年のワールドカップアジア最終予選、ソウル蚕室総合運動場での日本の窮地を救った1点目が個人的には印象深い。あれがなければ今の日本サッカーはどうなっていたのかと思うほど貴重な1点だった。
また、特筆すべきは左アウトサイドを使ったパスの美しさで、それは"美しい"という表現以外に見つからないほど見事な軌道を描き、尚かつ受け手の足下やスペースに「どうぞゴールを入れて下さい」と言わんばかりのイージーボールを置くその技量は、僕らを大いに感動させ、そこを見ているか!と思うほどの逆サイドへのパスは、常に観客をも騙し得た素晴らしいものだった。更に、守備の嗅覚も素晴らしいもので、バランスの取り方と自身のポジショニングが絶妙であり、いつも僕らを唸らせてくれた。彼のような視野幅を持ち、試合の流れを司る感覚を持った選手が今の日本にはまだいないのが現在の日本代表を苦戦せしめる原因ではなかろうか。彼の引退の報を聞くにおいてつくずくそう思った。(中村俊輔が今少し統率能力と守備力があれば近いのだが)
とにかくお疲れ様でした&ありがとうございました。
しかし、森島といい名波といい、個人的に好きな選手の引退が相次いで発表されると時の流れの残酷さと早さを思い知らされるものである。
投稿者 bellwin : 2008年11月16日 18:29