« しんどい試合が続く | メイン | 09' サクラ »
2009年04月05日
川崎恐るべし。

うまく非日常感を作っている等々力スタジアム。
湘南はアウエイで鳥栖に負けた。試合を見ていないので何とも言えないのだが、撃ち負けたみたいなのでなお一層悔しい。
そんな土曜日に僕は川崎対名古屋を見に等々力へ行っていた。ここを訪れるのはいつ以来だろう。確か川崎がJ1に上がってからも来た記憶があるのだが、J2時代は湘南の試合でよく訪れた。それにしてもスタジアムの雰囲気の変わりようには驚いた。J2時代は今でも良くJ2クラブでは見られる若干マイナーなほのぼの感漂うスタジアム風景だったのだが、今の等々力はバリバリのJ1仕様、どころか大人も子ども楽しめる一流のエンターテイメント空間に変わっていた。素晴らしい雰囲気になっていたのだ。
プロの試合を見るスタジアムというのは何と言っても「ハレ」の場所でなければいけない。日常とは分断されていなければならないのだ。もちろんスポーツを見に行くのだから試合そのものが主役なのは間違いがないが、家族4人で1万円近くの金額を払うのであれば、他の楽しみ方も知っている今のお客さんはそれだけでは満足しない。普通のお客さん(たまにスタジアムに足を運ぶライトファン層や初めてスタジアムに来る家族連れなど)は「スタジアムに行く」という行為自体はイコールレジャーランドに行くという行為と同じであり、それと同様にこの日一日を楽しみたいのであり、それが満たせられれば顧客満足度は高い。それには試合の盛り上がりと共にその場(=スタジアム)の「祭り」の雰囲気を醸し出すことが明瞭かつ重要なことだと思うのだが、この日の等々力の雰囲気はまさにそれで、川崎のフロントは非常にそれが分かっていると感じさせた。
まずはバスを降りると大きな特製アーケードがお出迎えし、そこから先の期待感を盛り上げる。その横にはフロンターレブルーに統一された特設ミニ子ども遊園地があり子どもの最高の遊び場になっている。そしてアーケードの向こうには縁日よろしく地元の相撲部屋の特別チャンコ屋台をはじめとした出店(でみせ)が並び、スタジアムへ誘っている。スタジアムで何をやっているか知らない人でもいつの間にかチケットを買っていそうな演出である。
また、スタジアムに入れば、回遊通路を旨く利用したショップの配置があり賑わい感を演出。更に等々力名物のバックスタンド裏の広場では早く来たお客さん用を飽きさせないように特設ステージを設置して出し物の数々。もちろんそれを取り囲むように多くの特長ある飲食ショップが並び、それぞれが賑わっている。もちろんスタジアム内には常に高揚感を煽る音楽が流れている。試合が始まる1時間半以上前から、スタジアムは周辺部を含め"祭り"以外の何物でもない雰囲気だった。そういえば行きに乗ったバスでは川崎の応援歌と中村憲剛のメッセージテープが常に流され、たまたま乗った名古屋サポーターを苦しめつつ、スタジアムにくるお客さんの、これから始まる試合への期待を抱かせる空間になっていたのにも関心した。
たぶん、全国に新設スタジアムがいくつもある今となっては魅力に乏しいと言わざるをえない等々力スタジアムというハコで、ここまでの雰囲気を作るのには相当の苦労とアイデアが必要だったと思うのだが、それをここまでにした川崎フロントはなかなかのもの。確かにいまやJ2でもスタジアム外への出店やちょっとしたイベントごとは良く行われているが、ここまで徹底はしていない。それは店の配置を工夫することによる盛り上げ感の演出というようなイベント技術や、ギスギスしがちな席詰めの呼びかけも寸劇で行っているようなユーモアあるアイデアの創出性だとか、そこに、真剣にスタジアムを盛り上げ、祭りの雰囲気を醸し出そうとする妥協のない"プロ"の仕事があるからこそであり、このクラブの強さが選手だけの力だけではないことを窺わせるのである。
そして、その甲斐もあってこの日の観客数は20148人と満員状態。ホームの川崎も勝ち、詰めかけたお客さんは大人も子どもも一日を大いに楽しめたことだろう。また来たいと思わせる楽しさが等々力にはあった。この日の川崎のカウンターの鋭さも相まってフロンターレは全ての面に於いて恐るべし存在になってきつつある。
投稿者 bellwin : 2009年04月05日 08:25