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期待しないで手にした一冊だが読み応え充分の作品だった。人間が生きる過程に於いてつきまとう矛盾と不条理をそれぞれの役柄や出来事に投影し、"生きる事の意味"を誠実に求める主人公達との対比によって物語全体で人生そのものを描いており重厚感もある。そしてそれらをより際立たせるように散りばめられている実業家神津の放つ言葉が心に染みる。と言って内容が別に説教臭い訳でもなく一流のアドベンチャー小説としても十分楽しめるのは著者の力量だろう。登山を趣味としている人のみならず山に興味のない方にもお勧め。たぶん山に登りたくなる。


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